アートを学ぶ

VTC/VTS⽇本上陸30周年記念フォーラム2022
対話型鑑賞のこれまでとこれから

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ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発された鑑賞プログラム「Visual Thinking Curriculum(VTC)」が⽇本に上陸してから、今年で30年が経つ。
それを記念したフォーラム「対話型鑑賞のこれまでとこれから」が、8月20日(土)と21日(日)の2日間、東京国立博物館で開催される。

VTCとは、スタッフから来館者に向けた一方通行の作品解説ではなく、スタッフと来館者、時に来館者同士の対話を介して作品を鑑賞する試みのこと。
京都芸術大学アート・コミュニケーション研究センター所長を務める福のり子と、このフォーラムの登壇者でもある逢坂恵理子は、1993年から3年間、日本の美術関係者を対象に、MoMAでVTC研修を実施。その後、VTCはVisual Thinking Strategies(VTS)と名前を変更し、日本では「対話型鑑賞」と呼ばれている。
当初は「人前で自分の意見を話しながら鑑賞するなんて、奥ゆかしい日本人には絶対に無理だ」と言われたが、美術館・博物館や学校教育現場で徐々に普及していった。

対話型鑑賞の実践イメージ

対話型鑑賞の実践イメージ

 

その理由は近年、この鑑賞法が美術界だけでなく、科学や医療の分野でも評価されはじめたためだろう。さらにビジネス界でも対話型鑑賞法を用いたコミュニケーションが大きく期待されており、30年前には考えられなかった広がりをみせている。
しかし現状を冷静に分析すれば、対話型鑑賞への理解の多くが、「自由」に「見たいように見ればよい」に留まっていることや、ファシリテーターの育成が追いついていないなど、様々な問題点や課題があることも事実。
「このような課題にいま真剣に取り組まなければ、対話型鑑賞はブームで終わってしまうのではないかという危機感を抱いています。」と、福は語る。

日本におけるVTC30年の歩みと、今後の展望について語り合い、未来を考えるこのフォーラム。今回は美術鑑賞に関わる者だけでない、領域を超えて各分野で対話型鑑賞に取り組んできた実践者が一堂に会し、その歴史と展望、そして未来に向けての課題を話し合う。
こうした取り組みが広がることによって、美術館の在り方をはじめとする制度そのものが変わる可能性もあるだろう。どのような変化が起こるのか、今後に期待したい。

プログラム(予定)

[1日目/20日(土)]
10:40〜12:00 対談「対話型鑑賞の黎明期 アメリカ→ドイツ→日本」
        逢坂 恵理子・福 のり子
13:00〜14:45 パネルディスカッション「美術館と対話型鑑賞」
        黒澤 伸・稲庭 彩和子・原 泉・都筑 正敏(モデレーター)
15:15〜17:00 パネルディスカッション「学校教育と対話型鑑賞」
        沼田 芳行・似内 達吉・末永 幸歩・北野 諒(モデレーター)

[2日目/21日(日)]
09:10〜10:40 パネルディスカッション「科学/医学と対話型鑑賞」
        三成 寿作・森永 康平・大野 照文、北野 諒(モデレーター)
10:50〜12:20 パネルディスカッション「ビジネスパーソンと対話型鑑賞」
        加藤 種男・藤原 綾乃・臼井 隆志・平野 智紀(モデレーター)
13:20〜14:50 レクチャー「対話型鑑賞の功罪:美的知覚の観点から」
        森 功次
15:00〜16:30 レクチャー「対話型鑑賞ファシリテーターの育成と課題」
        伊達 隆洋
16:40〜17:20 パネルディスカッション「対話型鑑賞の今後」
        森 功次・伊達 隆洋・北野 諒・平野 智紀(モデレーター)

※プログラムは変更の可能性あり。タイムスケジュール、最新情報はホームページ(下記URL)を参照。

■京都芸術⼤学アート・コミュニケーション研究センター
ニューヨーク近代美術館(MoMA)で開発研究された対話型の鑑賞教育プログラムを源流とする、京都芸術⼤学で独⾃の発展をとげたACOPエイコップ(Art Communication Project)を活⽤し、他者との対話を介した教育・研修プログラムの開発、実践と、アートの可能性を多⾓的に探る研究活動を担う機関として2009年4⽉に設⽴。現在は、美術・教育界にとどまらず、科学、医療、ビジネス界など、さまざまな領域でも活動を展開している。
・URL https://www.acop.jp

[information]
VTC/VTS⽇本上陸30周年記念フォーラム2022
「対話型鑑賞のこれまでとこれから」

・会期 2022年8月20日(土)、21日(日)
・会場 東京国立博物館 平成館大講堂
・住所 東京都台東区上野公園13-9
・時間 20日(土)10:30~17:30、21日(日) 9:00~17:30
・定員 150名(先着順)および同時配信
・参加費 会場8,000円(2日間通し)/配信視聴1,800円(各日)
※参加申し込みは、オンライン受付サービスPeatixからのみ受付
https://vtcvtsforum2022.peatix.com
※チケットの事前購入が必要
・TEL 075-791-9132(木・金曜日 13:00〜17:00)
・MAIL acop@st.kyoto-art.ac.jp
・URL https://www.acop.jp/news/vtcvtsforum2022

 

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