植野のぞみにとって東京では初となる個展「HELLO HELLO」が、11月15日より日本橋のREIJINSHA GALLERYで開催される。彼女は桐の粉と糊を混ぜた木の粘土「桐塑」で制作した動物を通じ、人間の習性や社会性をユーモラスかつシニカルに表現するアーティストだ。
この展覧会では、日常に潜む感情や感覚をテーマに、小さな記憶や普段は忘れてしまうような一時の想いも、作品を通して他者と共有できる、という独自の視点が提唱される。人間味あふれる動物たちの姿を是非間近で鑑賞してほしい。
個展の開催にあたって、植野は次のように語っている。
日常とは、些細な事象やそこから生じる感覚・感情が幾重にも積層し織りなされていると考える。
その日常をテーマに制作を行ってきた。
私は他の誰かではなく私であり、私個人の感覚は私だけのものと思う反面、人間という種の環世界に居る以上、抗えず、また無意識に繋がる思考と感覚が日常にあるのではないかと思う。話すほどではない事、話したくない事、日々埋もれていくが、確かに内にあった感情や思考。
忘れてしまうほど小さな記憶と感情のかけらが他者と共有できるものと知った時、見知った小さな庭に知らない道を見つけたような不思議な感覚を覚える。
誰でもないからこそ、誰にでもなれる、不思議な感覚の媒介者として動物を選んだ。
この世界は孤独ですら共有できる。
その事を、作品を通して呼びかけたい。
hello hello
[Profile]
植野のぞみ Nozomi Ueno
多摩美術大学では油画を専攻しながら、卒業後は立体造形にも制作の幅を広げる。その手法に桐塑を選び現在に至る。
溢れる動物愛から文句なしの愛らしいフォルムと鋭い観察眼に基づく確かな描写。内面からのアプローチとしては、擬人化した動物を介する人間の習慣性や社会性をユーモラス且つシニカルに表現し、鑑賞者の喜怒哀楽を揺さぶる。
※桐塑は粘土の一種。 桐の粉末にふのりを交ぜて作った粘土で、作った直後は柔らかいが、乾燥すると強度が増す。土の粘土に比べ細部の再現性がよく木のように表面を彫刻するのにも適している。
1983年 三重県生まれ
2006年 多摩美術大学美術学部絵画学科油画専攻卒業
2009年 個展「まにまに」(gallery元町/神奈川)
2010年 個展「連ね事」(同時代ギャラリー/京都)
2012年 個展「路地裏の日常」(同時代ギャラリー/京都)
2016年 野性の夜に(REIJINSHA GALLERY/東京)
個展「ふりかえり、ふりかえる」(ギャラリー北岡技芳堂/愛知)
2017年 Zoo of Arts/アートな動物園(REIJINSHA GALLERY/東京)
2018年 個展「となりのだれか」(三重画廊/三重)
2019年 達磨展(GALLERY CLEF/東京)
IKIMONO愛しき地球-ほし-の生命体(ギャラリーMOS/三重)
個展「心のすみっこ」(ギャラリー北岡技芳堂/愛知)
2020年 裏千代田 猫日和 猫づくし展(SAN AI GALLERY/東京)
2021年 pickup2021(REIJINSHA GALLERY/東京)
達磨と縁起物展(銀座三越/東京)
2022年 Spring Has Come(銀座三越/東京)
神戸アートマルシェ2022(神戸メリケンパークオリエンタルホテル/兵庫)
ART FAIR ASIA FUKUOKA 2022(ホテルオークラ福岡)
D-art,ART 2022(松阪屋名古屋店/愛知)
KOGEI Art Fair Kanazawa 2022(Hyatt Centric Kanazawa/石川)※’20、’21年出展
2023年 -次世代作家特選展-トレジャーハント(伊勢丹浦和店/埼玉)
個展「そこかしこ」(GALLERY MARQUISE/愛知)
ART NAGOYA 2023(名古屋観光ホテル/愛知)※’14、’15、’19、~’22年出展
D-art,ART 2023(大丸東京店)
猫会議2023(REIJINSHA GALLERY/東京)※’19、’21、’22年出展
現在、三重県にて制作
Instagram https://www.instagram.com/no.521/
[information]
植野のぞみ HELLO HELLO
・会期 11月15日(金)〜11月29日(金)
・会場 REIJINSHA GALLERY
・住所 東京都中央区日本橋本町3-4-6 ニューカワイビル1F
・電話 03-5255-3030
・時間 12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
・休廊日 日曜日、月曜日
・URL https://linktr.ee/reijinshagallery