1933年に竣工した旧朝香宮邸(現・東京都庭園美術館本館)の建築としての魅力を伝えるため、同館では年に一度、建物公開展が開催されている。今年は装飾性豊かな1920〜30年代のデザイン・芸術様式、アール・デコ最盛期に生まれた貴重書に着目したものだ。
朝香宮夫妻は1920年代の滞欧中、当時全盛期だったアール・デコの様式美に魅せられた。帰国後、自邸を建設するにあたり、主要な部屋の内装設計をフランスの室内装飾家アンリ・ラパンに依頼するなど、フランス直輸入のアール・デコ様式を取り入れた。
こうした背景から、同館はフランスの装飾美術に関する書籍や雑誌などを多く所蔵しており、それらを中心としたアール・デコ期の貴重書約100点がこの展覧会では紹介される。
美術館本館では各室に配された貴重書とアール・デコ建築とのコラボレーションを、新館では作品解説とともに一挙に展示された貴重書を鑑賞し、華やかで魅惑的な当時のアール・デコの世界に浸ることができる。
また、建物公開展で恒例となっている情景再現も見どころのひとつ。大食堂のテーブルデコレーションなど、各室に合わせた再現展示がおこなわれ、邸宅ならではの雰囲気を味わうことができる。普段は作品保護のために閉じられている窓のカーテンを開け放つと、室内は柔らかな自然光に包まれ、実に美しい。
窓辺から望む庭園の新緑がまぶしいこの季節に、ぜひ足を運んでみてはいかがだろうか。
[information]
建物公開2022 アール・デコの貴重書
・会期 2022年4月23日(土)~6月12日(日)
・会場 東京都庭園美術館 本館、新館
・住所 東京都港区白金台5-21-9
・電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
・時間 10:00~18:00(入館は閉館の30分前まで)
・休館日 毎週月曜日
・観覧料 一般1,000円、大学生(専修・各種専門学校含む)800円、中・高校生500円、65歳以上500円
※オンラインによる日時指定制。購入・予約は以下のサイトから。
https://www.e-tix.jp/teien-art-museum/EncountersWithArtDecoBooks.html
※展覧会チケットで庭園も入場可能
※小学生以下および都内在住在学の中学生は無料
※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその介護者2名は無料(手帳の提示が必要)
・URL https://www.teien-art-museum.ne.jp