佐賀県立美術館40周年特別展　
「あそび、たたかうアーティスト　池田龍雄」

池田龍雄《網元》1953年　東京都現代美術館蔵

「ルポルタージュ絵画」など戦後日本のアートシーンの第一線で活躍した池田龍雄（1928～2020）は、佐賀県伊万里市二里町に生まれ、92歳で没するまで精力的に創作活動を続けた。そんな彼の約70年にわたる画業を振り返る、故郷佐賀で初めての回顧展が9月6日から佐賀県立美術館で開催される。

池田龍雄《ストリッキング》1990年　佐賀県立美術館蔵

池田は15歳で海軍航空隊に入り、特攻隊の訓練中に終戦を迎えた。その後、美術を志し上京。より実験的で大胆な表現を求めるアヴァンギャルド（前衛）芸術に心ひかれ、画家・岡本太郎をはじめ、文学、音楽、映画などさまざまな表現者たちと知り合いながら、自身の表現を追求していった。社会の矛盾や不条理を鋭くかつユーモアたっぷりにあぶり出すペン画シリーズをはじめ、生命や宇宙のイメージを神秘的に描き出した「BRAHMAN（ブラフマン）」、廃材を利用した不思議なかたちのオブジェ（立体作品）など、その作品は実に多彩である。

池田龍雄《メタモルフォーゼ》1994-95年　個人蔵

アーティストとして生きることは「たたかい」―「闘い」であり、同時にアートは「あそび」であると、池田は語っている。その言葉通り彼は、人の心と精神の自由を形にする「あそび」であるアートを、厳しい生活と表現方法との苦闘の中で生み出していった。

池田龍雄《絵本『幼年民話　おばけばなし』表紙原画》伊万里市民図書館蔵

この展覧会は、戦後、現代の日本の美術界を代表するアーティストの一人として、今なお大きな存在感を放ち続ける池田龍雄の生涯、その「あそび」と「たたかい」の軌跡を紹介するものだ。

池田龍雄《漂着》2001年　個人蔵
撮影：上野則宏、画像提供：佐谷画廊アーカイブ

関連イベント
基調講演＆クロストーク

基調講演「池田龍雄 画家が背負ったミッション」
・講師：光田由里（多摩美術大学アートアーカイヴセンター所長・大学院教授）

クロストーク「池田龍雄、その『あそび』と『たたかい』の現場から」
・講師：光田由里、池田忠利（アーティスト、池田龍雄実弟）、古賀史生（佐賀新聞記者）
・コーディネーター：野中耕介（佐賀県立美術館学芸員）

【日時】10月1日（日）13:30～15:30
【会場】佐賀県立美術館ホール
【聴講料】無料
【定員】400人（事前申込みは不要）

関連イベント
第52回あらかしコンサート 「ミュージカル『ないた赤おに』」

【日時】9月16日（土）13:00開場、13:30開演（60分程度）
【会場】佐賀県立美術館ホール
【出演】劇団ショーマンシップ
【参加料】無料
【定員】400人（事前申込みは不要）

関連イベント
博物館・美術館セミナー

（1）「アーティスト、もうひとつのたたかい
―生きるためにえがく！画家・池田龍雄と絵本の世界―」
【日時】9月23日（土・祝）
【講師】野中耕介（佐賀県立美術館学芸員）

（2）「ゲイジュツのあるところ―池田龍雄の転廻―」
【日時】10月7日（土）
【講師】岩永亜季（佐賀県立美術館学芸員）

※各セミナーとも
【時間】13:30～15:00
【会場】佐賀県立美術館2階画廊
【聴講料】無料
【定員】各回30人（事前申込みは不要）

関連イベント
学芸員によるギャラリートーク

【日時】会期中の毎週土曜日、14:00から30分程度
※9月16日は、あらかしコンサート終了後の14:30から
※9月23日および10月7日は、博物館・美術館セミナー終了後の15:00から
【会場】佐賀県立美術館2・3・4号展示室

関連イベント
SAGA GAYA Museum

話したり、笑ったり、思わず声をあげたりしながら、自由な雰囲気の中で芸術作品を鑑賞できるのが、「SAGA GAYA Museumサガ・ガヤ・ミュージアム」。
子どもからお年寄りまで、障がいの有無などに関わらず、家族や友人、そして美術館スタッフと楽しいひと時を過ごす試みだ。

【開館時間の延長】9月15日（金）18:00～20:00、9月16日（土）９:30～12:00、9月17日（日）15:00～18:00、
【休館日の臨時開館】9月19日（火）13:00～17:00

アーカイブ記事「池田龍雄インタビュー」（2012年10月13日発行「美術屋・百兵衛」No.23より）はコチラ

[information]
佐賀県立美術館40周年特別展「あそび、たたかうアーティスト　池田龍雄」
・会期　2023年9月6日（水）～10月29日（日）
・会場　佐賀県立美術館（2・3・4号展示室）
・住所　佐賀県佐賀市城内1-15-23
・時間　9:30～18:00　※ただし9月15日（金）は20:00まで開館
・休館日　月曜日（9/18と10/9は開館）、10/10（火）は休館
・観覧料　一般 1,000円、割引観覧料800円
※高校生以下、障害者手帳又は指定難病医療受給者証の所持者とその介助者1名は無料
※割引料金は20名以上の団体、博・美メール会員、学生証（大学・専門学校等）提示の学生、本特別展の使用済み半券提示の方、17:00以降入場の方に適用
・TEL　0952-24-3947
・美術館URL　https://saga-museum.jp/museum/
・展覧会URL　https://www.ikeda-tatsuo-exhibition.com/