6年ぶりに帰って来た、
やさしく禅を教えてくれる
仙厓さんのゆるカワ絵画
2016年10月から2017年1月にかけて、東京・目白の永青文庫で開催された『仙厓ワールド―来て見て笑って!仙厓さんのゆるカワ絵画―』。同展では、永青文庫が所蔵する江戸時代後期の禅僧・仙厓義梵(1750~1837)の作品100点以上を一挙公開し、話題を呼んだ。
それから6年近くの時が過ぎた今、永青文庫の仙厓コレクションに再び出会える。現在開催中の「仙厓ワールド ―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―」では、初期から晩年までの選りすぐりの仙厓作品に加え、兄弟子にあたる誠拙周樗(1745~1820)など、仙厓周辺の禅僧による書画をあわせて展示。これまでほとんど取り上げられる機会のなかった貴重な禅画コレクションの一端を紹介する。また、禅画への理解と親しみを深めるため、画題解説コーナーが設けられ、出展作に登場するキャラクターたちの人気投票も実施される。
禅宗の教義や精神を、
絵画を通して表現するもの。
それが、禅画。
「禅画」とは、江戸時代以降の禅僧が描いた絵画のこと。その画題は、禅宗の始祖・達磨図、各宗派の重要な僧を描いた祖師図、禅の修行や悟りの瞬間などを絵にした禅機図、釈迦図や観音図といった仏画、布袋をはじめとする福神図のほか、風景画、動物や植物を描いたもの、市井の人々を題材にしたものまで、実に様々だ。特に白隠慧鶴と仙厓は幅広い画題を手がけ、バラエティーに富んだ禅画を数多くのこしたことで知られている。
永青文庫の設立者・細川護立(1883〜1970)は、16歳の頃に肋膜を患い、療養中に白隠の『夜船閑話』を読んだことをきっかけに、白隠作品を集め始めた。護立は自ら白隠ゆかりの地を巡りながら蒐集を進め、1921(大正10)年には自身の白隠コレクションを公開する展覧会を開催。翌年、主要な出品作140点余りをまとめた豪華な画集『白隠墨蹟』を刊行している。護立の禅画蒐集は白隠のみにとどまらず、弟子の東嶺円慈や遂翁元盧、さらに仙厓と誠拙など、近世禅僧の書画を幅広くコレクションした。さらに書画とあわせて禅僧遺愛の品々も入手しており、この展覧会では、仙厓の手がけた茶杓や誠拙旧蔵と伝えられる茶碗と水滴も紹介される。
難解なイメージの強い禅画だが、仙厓のゆるくてカワイイ作品を観れば、誰もが禅の世界を楽しめるだろう。
仙厓義梵 せんがいぎぼん
1750(寛延3)年、美濃国(現・岐阜県)生まれ。11歳の頃に得度し、義梵と名付けられた。武蔵国永田(現・神奈川県横浜市)東輝庵の月船禅慧に弟子入りして修行を積んだのち、諸国を行脚。40歳のときに聖福寺(福岡県福岡市)の第123世住職となり、20年以上にわたり同寺の復興と弟子の育成に努めた。住職を引退した62歳から本格的に書画を手がけ始め、73歳で「厓画無法」を標榜。幅広い画題を手がけ、書画の依頼が絶えなかったことから83歳の時には「絶筆の碑」を建てたが、かえって依頼が増えてしまい、1837(天保8)年に88歳で亡くなるまで筆を折ることはなかった。
[information]
令和4年度初夏展「仙厓ワールド ―また来て笑って!仙厓さんのZen Zen 禅画―」
・会期 2022年5月21日(土)~ 7月18日(月・祝)
前期:5月21日(土)~ 6月19日(日)/ 後期:6月22日(水)~ 7月18日(月・祝)
※前・後期で大幅な展示替あり
・会場 永青文庫
・住所 東京都文京区目白台1-1-1
・時間 10:00~16:30(入館は16:00まで)
・休館日 月曜日(ただし7/18 は開館)、6/21(火)
・観覧料 一般1,000円、シニア(70歳以上)800円、大学・高校生500円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方及びその介助者(1名)は無料
・TEL 03-3941-0850
・URL https://www.eiseibunko.com/