展覧会

マッド・アマノ パロディ個展 
人類は進化しているか? Are we evolving?

会場
ギャラリー&クラフト 杜
会期
11/1日(火)〜11/13(日)

手元にある辞書を紐解くと、パロディー(パロディ)の説明として「文学作品の一形式。よく知られた文学作品の文体や韻律を模し、内容を変えて滑稽化・風刺化した文学。日本の替え歌・狂歌などもこの類。また、広く絵画・写真などを題材にしたものにもいう。」(岩波書店「広辞苑」第六版、編者:新村出)とある。パロディーは、時に権力者に対するささやかな抵抗であったり、時代や社会への反骨精神の表れであったりもする。ある意味では人類にとって不可欠の表現手段だが、著作権や肖像権などの知的財産権についての主張が声高に叫ばれるようになるにつれ、先鋭的なパロディーを発表することが難しくなってきた。過激なほど批判性が高まり、人々の間に広く浸透する可能性が高いとも言えるだけに、残念な状況である。

日本におけるパロディーの第一人者が、ここで紹介するマッド・アマノだ。1939(昭和14)年に東京で生まれた彼は、フォトコラージュによるパロディーを確立し、1981年から約20年間、写真週刊誌「FOCUS」(新潮社)に時事風刺「狂国の時代」を連載した。その後も政治や戦争、公害などをテーマとしたパロディーで一貫して権力と戦い続けている。
そんな彼が11月1日からの約2週間、東京巣鴨にある画廊「ギャラリー&クラフト もり」で個展を開催することになった。コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻などにより世界中が混迷を極めている2022年秋、マッド・アマノのパロディーは私たちに何を訴えかけ、何を考えさせてくれるのだろうか。

人類は進化しているか?

マッド・アマノは現在、月刊誌「紙の爆弾」(鹿砦社)に「世界を裏から見てみよう」を連載中だ。その最新号でこの展覧会に触れているので、抜粋して紹介しよう。

久々に個展を開くことになった。11月1日(火)〜 11月13日(日)東京巣鴨の画廊だ。スペースがあまり広くないので3メートルの白壁にプロジェクターによる作品を投影することにした。100インチの大型スクリーンはなかなかの迫力だ。ただし、一枚一枚、作品を映し出すのは脳がない。作品の一部をトリミングして次に完成作品を見せるといったやり方だ。つまり順動画風というところか。

今回の個展のテーマは「人類は進化しているか?」だ。(中略)科学者でも生物学者でもない私が「進化論とは?」と大上段に見栄を切ったところでそれはジョーク以外の何物でもないわけで。さて「人類は進化しているか?」というテーマだが進化論のイラストを駆使した作品をかなりの数、作った。例えば太平洋戦争での硫黄島攻防戦で米軍が日本軍を壊滅し摺鉢山のてっぺんに星条旗を打ち立てたシーンの写真。(中略)硫黄島の星条旗ブロンズ像はワシントンDCのアーリントン墓地に隣接した硫黄島記念碑として建立されている。私はこの有名な写真を素材にパロディを作った。6人の兵士の背後に例の進化論の猿から原始人、現代人が並んで歩くイラストを配した。行く先は「殺し合いのシンボル」であることを示唆している。

パロディーについて、事前に説明しすぎるのも野暮だろう。後は読者諸氏が実際に会場に足を運んで体感してほしい。作品を観て、笑うか、怒るか、涙を流すかは各々の自由。この展覧会は、あなたの感受性の鋭さを試す機会であると言えるかもしれない。

マッド・アマノ写真

マッド・アマノ(パロディスト) 2022年11月

マッド・アマノ 個展に際して考えること(プロフィールに替えて)
1939年ナチスヒトラーのポーランド侵攻の年に生を受ける。いわゆる「軍靴の音」が日本中に響き渡り始めた。
1941年12月8日 日本海軍真珠湾攻撃の時、2歳。
1945年3月「東京大空襲」、一晩で10万人の命が奪われた。7月疎開先の栃木県小山の親戚の家の二階で母と共に米戦闘機の機銃掃射を受けるも一命を取り留める。
1945年8月 広島・長崎に原爆投下。15日天皇の「玉音」で敗戦となる。
以来、今日に至るまで日本は敗戦国なのだ。多くの日本人はこのことを自覚していない。個展のテーマは「人類は進化しているか?」。さらに言うなら「日本人は退化しているのではないか?」と敢えて警鐘を鳴らしたい。

[information]
マッド・アマノ パロディ個展 人類は進化しているか? Are we evolving?
・会期 2022年11月1日(火)〜 11月13日(日)
・会場 ギャラリー&クラフト もり
・住所 東京都豊島区巣鴨1-3-20
・時間 11:00〜19:00
・定休日 11月7日(月)
・入館料 無料
・TEL 03-3946-8035
・URL https://www.gallerycraft-mori.com

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