みなさんは、新潟と聞いて何を思い浮かべるだろうか? 国内有数の米の産地、古くから受け継がれてきた日本酒、大雪の降る厳しい冬、海と山に挟まれた豊かな自然……。
新潟には、雪と共存する中で生まれた食文化、佐渡の能や鬼太鼓などの伝統芸能、歴史を感じられる城下町の街並みなど、さまざまな独自の文化がある。
今号の百兵衛では、そんな新潟の芸術文化シーンに注目し、四つの展覧会・アートイベントを紹介する。
まずは新潟市内から紹介しよう。JR新潟駅から日本海方面に向かったところに、新潟市美術館がある。そこで開催されているのが、縦3.3m×横7.5mもの巨大画を描くことで知られる作家・遠藤彰子の個展「遠藤彰子展 巨大画の迷宮にさまよう」だ。
自身を取り巻く身近な事象をテーマにしながらも、その壮大な世界観で「今生きている実感」を表現する彼女の作品は、観る者に圧倒的な印象を残してきた。
また、長岡市にある新潟県立美術館の分館である新潟県立万代島美術館では、「化石ハンター展 ゴビ砂漠の恐竜とヒマラヤの超大型獣」が開催中。
この展覧会は、伝説の化石ハンター、ロイ・チャップマン・アンドリュースの中央アジア探検100周年を記念したもの。これまでに東京、大阪、名古屋を巡回してきた大人気の特別展だ。
この夏の新潟は、アートな体験も知的な体験もできる、欲張りにはたまらない街になっている。古町花街と呼ばれる歴史ある歓楽街には、風情ある建築物が並んでおり、ほっと一息をつける待合も充実しているので、ぜひぶらりと巡ってほしい。
新潟の芸術文化シーンを盛り上げようとする動きは、新潟市内にとどまらない。県内南部に広がる里山・越後妻有エリアでは、現在、三年に一度のアートの祭典である「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2024」が開催されている。
里山の美しい自然を巡りながらアート鑑賞を楽しめるだけでなく、地域の食文化を体験できるツアーも用意されているので、新潟を初めて訪れる人でも満足できるだろう。
最後に紹介するのは、日本政府が世界遺産の暫定リストに記載している佐渡島で8月11日から開催される、「さどの島銀河芸術祭2024」。
この芸術祭は、佐渡島の美しさを世界に広めたいという思いをもった島民有志が発案したもの。佐渡島の魅力を再発見できるこの芸術祭は、われわれ人間が自然、そして宇宙の一部であることを改めて実感させてくれるに違いない。
47都道府県中5番目に広い新潟県だけに、じっくり見てまわろうとするとかなりの時間を要する。
一つをピックアップして思い切り没頭するもよし、いくつかを巡ってそれぞれの地域の魅力を比べて楽しむもよし。さまざまな工夫で多くの人々を引きつける新潟県から、これからも目が離せない。