大阪・京町堀にあるchignitta spaceでは現在、岡美里個展『YOUR PROFILE』が開催されている。
東京代官山BEAMSを皮切りに、神戸、福岡、名古屋、京都、札幌と旅をしながら、これまで2,000人もの横顔の自画像を描いてきた人気美術家・岡美里。今回は、そんな彼女の、大阪では初となる個展だ。子供や大人の横顔を描いた絵画作品をはじめ、この個展のために描き下ろした水彩画やアクリル画など、ポップで明るく心地よい色彩の絵画がchignitta spaceの空間を飾る。
岡 美里 Misato Oka
東京都生まれ。多摩美術大学版画研究室修了。横顔のポートレイトをライフワークとしており、これまで描いた横顔は2,000人。明快なコンセプトとポップなタッチで評価を得る。このプロジェクトは東京を皮切りに、福岡、北海道、京都、神戸、愛知などを巡回。また、随筆家として「アートと建築をめぐる探検」がテーマのエッセイも好評。雑誌「BRUTUS」札幌の正解（出版：マガジンハウス）、雑誌「HERS」四谷案内（出版：光文社）、「BEAMS EYE ON ISE わたしの伊勢だより」（出版：BEAMS）。出版やトークイベントも多数。
Instagram: https://www.instagram.com/misato_oka
自画像を描くポートレイト制作をライフワークとする岡だが、ポートレイトを描くときは必ず左向きの横顔にこだわるらしい。左半顔は穏やかな、あるいは正直な一面が出るといわれている。また東洋思想で時間が右から左へと流れるように、彼女は「右から左へ進むことは、未来に向かうこと」と考えているのだ。彼女の制作は、被写体の人物と直接会い、話をしてから愛用のカメラで横顔を撮影するという過程から始まる。見た目だけではなく、エネルギーや空気感などその人が発するものを感じ、それを作品に注いでいくというスタイルと言えるかもしれない。
今回の個展に向けて、岡は次のような言葉を残している。
── それは一枚の自画像から始まった。とあるギャラリーから個展の話をもらい、静物画に混ぜるかたちで自画像を一枚、壁に掛けていた。するとそれを見たアートコレクターが買ってくれたのです。自画像は横顔。これがきっかけで、家族や友の横顔を描くことを思いつく。カメラを持ち歩き横顔を撮影しては、こつこつと絵に起こしていった。25人描いたところでスペースを借り、初めて『横顔展』を開いた。すると、横顔のモデルとなった友人が、そのまた友人を連れてきて〝こいつも描いてくれ〟と言ってくる。ガラス越しに横顔のポートレイトを眺めていた通りすがりの人たちが、展示会場へ入って来るなり、やはり描いてほしいと言ってくる。それで値段を決めることにした。東京以外にも、福岡、京都、札幌、愛知などのギャラリーから横顔展、及びオーダー会開催の声をかけてもらい、気がついてみたら17年の年月が経ち、描いた横顔は2,000人を超えていた。旅をしながら横顔を描く。そんなスタイルがすっかりライフワークになっている。──
今回の大阪個展でも本人が在廊し、会期最終盤の3日間には横顔ポートレイトのオーダーを受け付けるという。写真でポートレイトを残すのは日常的なことだが、画家に自画像を描いてもらうことは一生の記念や思い出となるだろう。おそらくこの世にたった1枚の特別な自画像になるはずだ。
岡美里個展『YOUR PROFILE』会場風景（1）
[information]
岡美里個展『YOUR PROFILE』
・会期 2022年4月15日（金）～ 5月8日（日）
・会場 chignitta space （チグニッタ・スペース）
・住所 大阪市西区京町堀1-13-21 高木ビル1F奥
・時間 13:00～19:00
・定休日 月曜日
・入場料 無料（予約不要）
・交通 大阪メトロ御堂筋線・四ツ橋線「本町」駅28番出口から北に徒歩5分、四ツ橋線「肥後橋」駅7番出口から南に徒歩5分
・URL https://chignitta.com
横顔ポートレイト受注会
5月6日（金）、7日（土）、8日（日） いずれも14:00頃〜18:00頃
当日は、作家本人が横顔の写真を撮影し、絵を作成。
・予約不要／服装自由／愛用品（例：ぬいぐるみ、趣味の道具など）持参可
・所要時間は10〜30分
・乳幼児でも首が座っていれば受付可能
・ペット連れは要相談
・納期は約3ヶ月
※詳細はhttps://chignitta.com/archives/items/misatooka2022を参照