西日本有数の温泉地として知られる美作三湯
岡山県は、県庁所在地・岡山市に代表される備前、倉敷市のある備中、そして美作、津山、真庭の三市と五町二村からなる県北部の美作という三つの地域で構成されている。美作国はかつての令制国の一つであり、「続日本紀」によると713(和銅6)年に備前国から北部6郡が分かれて誕生した。剣豪として知られる宮本武蔵は、美作国宮本村で生まれたとされる。
豊かな自然が残るこの地域は、個性あふれる多くの温泉に恵まれている。その代表が湯郷温泉、奥津温泉、湯原温泉という三つの温泉。いわゆる美作三湯であり、西日本有数の温泉地として広く知られている。
今回で3回目の開催となるアートプロジェクト
美作三湯を舞台に、2016年に誕生した美作三湯芸術温度。県内外のアーティストによる作品制作・展示を通して、このエリアでしか味わうことのできない新しい文化価値の創造・発信を目指すアートプロジェクトであり、3年に一度開催される。
美作三湯芸術温度は、温泉宿や周辺施設に芸術作品を展示する回遊型アートイベント。来場者は、美術館とは一味違う空間で、自由に芸術鑑賞を楽しむことができる。観覧料は無料で、宿泊客でなくても作品見学が可能。誰もが気軽に立ち寄れるためか、来場者は2016年の第1回が10万5千人、2019年の第2回は11万8千人と増えるなど、美術ファンからの注目度は高まっている。
イベントタイトルにある「温度」に託されたのは、温泉のぬくもり、温泉宿のあたたかいおもてなし、アートを鑑賞した後の感動など、実際に体感できる感覚。来場者にこの「温度」を感じてもらいたい、アート作品から新しい感動を発見してもらいたいという思いが込められているのだ。
3年ぶりの開催とはなるが、展示会場となる宿泊施設等には過去2回の出展作も残されている。26名のアーティストによる今回の出展作とあわせて、多くのアートに触れ、心と体を癒してほしい。
※掲載作品は過去の美作三湯芸術温度に出展されたもの
特別列車で旅の過程も楽しもう
7月1日にはJR西日本の特別列車「SAKU美SAKU楽」(さくびさくら)が岡山ー津山間で運行を開始した。美作三湯芸術温度2022の開催エリアまでの間、車窓の風景を楽しんだり、車内で提供される岡山の食の魅力が詰まった特製弁当やスイーツに舌鼓を打ったりしてみてはいかがだろうか。
[information]
温泉×アート! 美作三湯芸術温度2022
・会期 2022年8月27日(土)~ 12月4日(日)
・展示会場 美作三湯の宿泊施設等(岡山県真庭市、美作市、鏡野町)
※湯原温泉地区10ヶ所、奥津温泉地区5ヶ所、湯郷温泉地区10ヶ所
※奈義町現代美術館などの周辺文化施設でも関連した展覧会を予定
・観覧料 無料
・TEL 086-226-7903(岡山県文化振興課/土日祝を除く8:30〜17:15)
・公式サイト https://www.pref.okayama.jp/site/art/list500.html