会場:佐川美術館 | 会期:2023/9/30(土)〜2024/1/28(日) |
滋賀県守山市の佐川美術館では、特別企画展「吉左衞門X 浦上玉堂 × 樂直入」が開催されている。
吉左衞門X展とは、樂直入が深く影響を受けたもの・思惟を共有したもの・共感や感動したものを関数Xとしてコラボレーションする展覧会のこと。
第14回目となる吉左衞門Xは、江戸時代中後期の文人画家、琴士として知られる浦上玉堂とのコラボレーション展である。
玉堂は、心の中に浮かぶ風景、いわゆる胸中の山水を描き続けることにより、自らと自然の関係性を描こうとした。
心をそのまま画布の上に表現する玉堂が描いた心象風景の美しさに魅せられたという直入。形にとらわれることなく、作為を排して自由に表現した玉堂作品には、近年の直入の作行き*に見られる造形や色彩といった表現の諸要素を削ぎ落して、究極表現を超えようとしている樂茶碗との共通性が見出せる。
*【作行き】陶磁器を鑑賞する時に、土質・釉(うわぐすり)・色・形などを総合したできばえを指す言葉。
この展覧会では、直入が玉堂を見つめる中で、玉堂の世界に深く入り込んで制作した新作樂茶碗と玉堂作品を展観することにより、両者に通じる深い精神性に触れようとする試みである。
浦上 玉堂(うらかみ ぎょくどう)
1745-1820年。江戸時代中後期の文人画家、琴士。
備中鴨方藩士の子として、岡山城下天神山の藩邸内で生まれる。
玉堂とは、35歳の時に入手した七絃琴の刻銘「玉堂清韻」にちなむ号。
画業には40歳頃より本格的に打ち込み始めた。50歳の時、息子である春琴と秋琴を連れて脱藩する。諸国遍歴の後、67歳からは長男・春琴と京都で同居し、琴詩書画や文人との交流を楽しみながら晩年を過ごした。
樂 直入(らく じきにゅう)
1949年京都市生まれ。陶芸家。
日本独自の陶芸・樂焼の家系の十五代目。樂覚入の長男として生まれる。
1973年東京藝術大学美術学部彫刻科を卒業後、イタリア留学。覚入の没後、1981年に十五代吉左衞門を襲名。2019年に代を譲り、樂直入に改名。
桃山時代に樂茶碗を造りだした初代長次郎以来、450年の歴史と伝統を継ぐ樂家十五代として、伝統に立脚しながらそこに安住することなく、常に斬新な感覚を示す造形美の世界を表現し続けている。特に「焼貫」の技法を駆使し、大胆な箆削りによる彫刻的ともいえる前衛的な作風を築き上げている。
なお、同館の特別展示室では、12月3日(日)まで「ガウディとサグラダ・ファミリア展」が、12月14日(木)からは「エッシャー 不思議のヒミツ」(2024年2月25日まで)が開催される。いずれも注目の展覧会だけに、吉左衞門X展と併せて鑑賞してほしい。
[information]
吉左衞門X 浦上玉堂 × 樂直入
・会期 2023年9月30日(土)~2024年01月28日(日)
1期 2023年 9月30日(土)~10月29日(日) ※会期終了
2期 2023年10月31日(火)~12月 3日(日)
3期 2023年12月14日(木)~2024年1月28日(日)
※WEB事前予約制 https://www.e-tix.jp/sagawa_artmuseum/
・会場 佐川美術館 樂吉左衞門館
・住所 滋賀県守山市水保町北川2891
・時間 9:30~17:00(最終入館は16:30まで)
・休館日 毎週月曜日(祝日の場合は翌日)、11/28、12/4~13、12/30~1/3、1/9
・入館料 一般1,300円、高大生900円、中学生以下無料(ただし保護者の同伴が必要)
※専門学校・専修学校は大学に準じる
※障害者手帳をお持ちの方(手帳の提示が必要)および付添者1名は無料
・TEL 077-585-7800
・URL https://www.sagawa-artmuseum.or.jp/