田嶋悦子《Hip Island》 1987年 2017年西宮市大谷記念美術館での展示風景 岐阜県現代陶芸美術館蔵 撮影：高嶋清俊
今、ふりかえる関西ニューウェーブ
今年、開館20周年を迎えた兵庫県立美術館では、6月18日（土）から8月21日（日）まで「兵庫県立美術館開館20周年 関西の80年代」が開催される。バブル経済とポストモダンの思潮を背景に、多彩な芸術表現が花開いた1980年代。特に関西では、同館の前身である兵庫県立近代美術館のシリーズ展「アート・ナウ」などで若い作家が台頭し、「関西ニューウェーブ」として注目を集めた。この展覧会では、当時の作り手たちそれぞれのリアリティに根差した、今なお新鮮な作品群が紹介される。
杉山知子《the drift fish》（部分）1984年ギャラリー手での展示風景 作家蔵 撮影：成田弘
なぜ80年代なのか？
「アート・ナウ」というシリーズ展は、その年に目覚ましい活躍をみせた作家を紹介し、関西アート・シーンの今を伝えようとする名物展覧会であった。特に80年代にはまだ20代の作家が続々と参加し、競うように大作を発表する場となる。
バブル景気とポストモダンの時代。何とも華やかで恵まれた状況だと思われるかもしれないが、いまや国内外で活躍する作家たちの多くは当時まだ20代の駆け出しだった。70年代の禁欲的な傾向とは一転した、心躍る色やイメージにあふれた彼らの作品群は、ニッポンの片隅で美術作家として何を作りどう生きていくのか、大いに悩みつつそれぞれのリアリティを掘り下げた成果でもあったのだ。
石原友明《約束Ⅱ》1984年ギャラリー白での展示風景 現・高松市美術館および作家蔵 撮影：石原友明
展覧会の4つの見どころ
- 「現代美術は西高東低」とも言われた1980年代、関西ならではの類を見ない作品群を一堂に紹介。
- 前身の兵庫県立近代美術館時代に、シリーズ展「アート・ナウ」で「関西ニューウェーブ」など当時の動向をいち早く紹介してきた兵庫県立美術館の開館20周年を記念して開催する企画展。
- 空間全体を使ったインスタレーションなど、今も国内外で活躍を続ける作家たちによる若き日の実験作を中心に、この時代特有のストレートなパワーに満ちた作品を展示。
- 若い世代はもとより、80年代をリアルタイムで知る世代にとっても、ただ懐かしいだけではない新鮮な作品の姿を通じ、困難な今を生きる観客に芸術のポジティブな力を発信。
現代アートの原点とも言える80年代、関西発の独創的かつ魅力的な作品群は、現在の困難な時代をよりよく生きるヒントを与えてくれるはずだ。
吉原英里《M氏の部屋》（部分）1986年番画廊での展示風景 作家蔵 撮影：濱田弘明
出品予定作家
奥田善巳、朝比奈逸人、飯田三代、北山善夫、辰野登恵子、中谷昭雄、石原友明、杉山知子、藤浩志、松井智惠、河合（田中）美和、小西祐司、中西圭子、中西學、濱田弘明、松井紫朗、三村逸子、森村泰昌、安井寿磨子、山崎亨、吉原英里、赤松玉女＋森村泰昌、KOSUGI＋ANDO（小杉美穂子＋安藤泰彦）、TRIO（福田新之助、浜本隆司、中澤テルユキ）、田嶋悦子、中原浩大 ほか
また、堀尾貞治、榎忠らの作品も記録写真による展示で紹介される。
KOSUGI＋ANDO（小杉美穂子＋安藤泰彦）《芳一 -物語と研究》
1987年京都アンデパンダン展（京都市美術館）での展示風景 作家蔵 © KOSUGI＋ANDO
[information]
兵庫県立美術館開館20周年 関西の80年代
・会期 2022年6月18日（土）〜 2022年8月21日（日）
・会場 兵庫県立美術館
・住所 兵庫県神戸市中央区脇浜海岸通1-1-1（HAT神戸内）
・時間 10:00〜18:00 ※入場は閉館の30分前まで
・休館日 月曜日 ※ただし7月18日（月・祝）は開館、翌19日（火）休館
・観覧料 一般1,500円、大学生1,100円、70歳以上750円、高校生以下無料
※障がいのある方（一般）350円、障がいのある方（大学生）250円
※障がいのある方1名につき、介護者1名が無料
※7月12日（火）～ 18日（月・祝）の「県民プレミアム芸術デー」は無料
・TEL 078-262-1011
・URL 兵庫県立美術館公式サイト https://www.artm.pref.hyogo.jp
【招待券プレゼント（2組4名様）】
※メニューの「プレゼントコーナー」からご応募ください。
※当選発表は6月28日以降に発送をもって代えさせていただきます。