優れた造形美を持つ縄文文化を
美術的視点で紹介する。
縄文時代の遺跡がいくつも存在し、多くの土器、土偶も発見されている山梨県。全国有数の縄文文化が発展したこの県には、“縄文王国”を盛り上げるために、県内の7館の資料館・博物館（山梨県立考古博物館、山梨県立博物館、釈迦堂遺跡博物館、北杜市考古資料館、韮崎市民俗資料館、南アルプス市ふるさと文化伝承館、ふじさんミュージアム）で構成される「縄文王国山梨」も生まれている。
重要文化財《土偶（円錐形土偶）》鋳物師屋遺跡
南アルプス市教育委員会蔵（展示期間：9月10日～10月10日） ※10月12日～レプリカ展示
しかし、これまで山梨における縄文文化の紹介は、ほとんどが考古学的なものにとどまっていた。一方、現在山梨県立美術館で開催されている「縄文―JOMON―展」は、美術的視点から山梨の縄文文化に焦点を当てた展覧会である。
《土偶（仮面土偶）》後田遺跡 韮崎市教育委員会蔵
山梨県立考古博物館をはじめとする県内各所で所蔵されている代表的な土器や土偶が一堂に会するこの展覧会。さらに写真家、小川忠博によって撮影された新しい視点による全国の縄文遺物写真や展開写真とコラボレーションさせることで、縄文文化の美術的価値を改めて知る機会となるはずだ。
重要文化財《深鉢形土器（水煙文土器）》
釈迦堂遺跡博物館蔵（展示期間：10月12日～23日）
「プロローグ THE “JOMON”」では、1万年以上も続いた縄文時代における土器の変遷を典型的な作品でたどるとともに、優れた石器や骨角器などの出土品も写真で紹介。続く「第1章 KAWAII」では、土偶の名品の数々や愛くるしい人面装飾付土器などと、全国各地の個性的な土偶を写真で紹介する。形態や文様に美しさを見出す土器を展示しているのが、「第2章 UTSUKUSHII」。さらに「第3章 KAKKOII」では、格好良さが全面に表れている土器の実物と名品の写真が紹介される。最後に、実物の周りを展開写真で巡らす「エピローグ 展開された“JOMON”」で、新たな縄文土器の魅力を堪能してほしい。
《深鉢形土器》天神堂遺跡 甲州市教育委員会蔵
山梨県内有数の土器・土偶60点と小川忠博の写真約90点による、かつて無い視点と展示方法による縄文美術の協演。遠方からでもわざわざ足を運ぶ価値のある展覧会と言えるだろう。
《深鉢形土器（人体文土器）［山梨県立考古博物館蔵］展開写真》
展覧会の見どころ
・“縄文王国”山梨の土器・土偶の名品が一堂に会する。
・縄文遺物を撮り続けた第一人者の小川忠博による、新たな視点での縄文世界を大型写真パネルで紹介。
・縄文土器とその展開写真が、展示室でコラボレーションする。
《深鉢形土器（渦巻文土器）［笛吹市教育委員会蔵］展開写真》
関連イベント
◎『JOMON MONYO で遊ぼう！』
日時：10月23日（日）①10:30～12:00 ②14:00～15:30
講師：山梨県立美術館職員
定員：各回15名
会場：ワークショップ室
●要申込、参加無料
◎ミュージアム・シアター『縄文にハマる人々』（2018年、101分）[音声：日本語]
日時：10月29日（土） 13:30～
定員：先着50名、申込不要（13:00より会場前にて整理券配布）
会場：講堂
●申込不要、鑑賞無料
◎協力イベント 縄文王国山梨ワークショップ『願いをこめて土偶をつくってみよう』
日時：10月2日（日）、11月6日（日）①10:00～ ②11:00～ ③13:00～ ④14:00～
定員：各回先着48名（人数制限をする場合あり）
会場：ワークショップ室、工房
問い合わせ先：山梨県立考古博物館（TEL 055-266-3881）
●参加無料
※イベントは延期または中止になる可能性あり。来館前に公式サイト（下記）を確認してください。
[information]
縄文―JOMON―展
・会期 2022年9月10日（土）～11月6日（日）
・会場 山梨県立美術館 特別展示室
・住所 山梨県甲府市貢川1-4-27
・時間 9:00〜17:00（入館は16:30まで）
・休館日 月曜日（9月19日、10月10日は開館）、10月11日（火）
・観覧料 一般1,000円、大学生500円
※高校生以下の児童・生徒は無料（高校生は生徒手帳持参）
※県内65歳以上の方は無料（健康保険証等持参）
※障害者手帳を持参の方、およびその介護をされる方は無料
・TEL 055-228-3322
・URL https://www.art-museum.pref.yamanashi.jp