※この記事で掲載されている画像はすべて昨年度の作品です。
昨年は多くの美大生が、コロナ禍で制作環境や自由な交流の場を制限されました。その中で自分の好きなことを学び、探求し、卒業制作としてかたちにするには多くの努力と時間が必要だったことでしょう。特集「卒展を観に行こう!」その2では、昨年の展示の様子や2021年の作品を観ながら、多摩美術大学を紹介。本年度の卒業・修了制作展は、学科・専攻ごとに1月と3月の2回に分け、八王子キャンパスで開催されます。
多摩美術大学の教育理念は「自由と意力」
教育理念にもある意志の力、精神の力を意味する「意力」を重視している多摩美術大学。唯一の学部である「美術学部」には、10学科15専攻・コースが含まれます。実質的なものづくりがメインとなる「絵画学科(日本画専攻/油画専攻/版画専攻)」「彫刻学科」「工芸学科」のほか、「グラフィックデザイン学科」「生産デザイン学科(プロダクトデザイン専攻/テキスタイルデザイン専攻)」「環境デザイン学科」「情報デザイン学科(メディア芸術コース/情報デザインコース)」「芸術学科」「統合デザイン学科」「演劇舞踊デザイン学科(演劇舞踊コース/劇場美術デザインコース)」などデザイン系の学科やコースが多く、特にグラフィックデザイン分野の卒業生の活躍が目立ちます。
情報デザイン学科の開設後はIT、情報通信分野のデザインにも力を入れているようです。学祭が学生自治であることや、教育理念の「自由と意力」にもあるように、学生たちのセルフプロモーション能力の高さを感じます。
主な卒業生:菅木志雄(美術家)、佐藤可士和(アートディレクター)、蜷川実花(写真家)、しりあがり寿(漫画家)、三宅一生(ファッションデザイナー)、松任谷由実(シンガーソングライター)
一般公開して行なわれる講評会、特別授業、ギャラリーツアーなども見どころのひとつ。また、学生たちが自主的に企画した学科独自の展示や個人・グループによる展示が、都内および神奈川県内のアートスペース各所で行なわれる予定です(スケジュールは多摩美術大学公式サイトにて公開中)。現代社会へ向けて発信される学生たちのデビュー作を、ぜひ会場で体感しましょう。
キャンパスを展示会場とした卒展は、学内の立地を生かした工夫が施され、1日では鑑賞しきれないほどの作品にあふれています。作品一つひとつの密度も高く、エネルギーに満ちた作品は、どれほど見続けても飽きることはありません。さあ、心躍る卒展シーズンのはじまりです!
[information]
●2021年度 多摩美術大学 美術学部卒業制作展・大学院修了制作展A
・会期 2022年1月13日(木)〜1月16日(日)
・実施学科 日本画・油画・版画・彫刻・工芸・テキスタイルデザイン・環境デザイン・メディア芸術・情報デザイン
●2021年度 多摩美術大学 美術学部卒業制作展・大学院修了制作展B
・会期 2022年3月13日(日)~3月15日(火)
・実施学科 グラフィックデザイン・プロダクトデザイン・芸術学・統合デザイン・演劇舞踊・劇場美術デザイン
・会場 多摩美術大学八王子キャンパス
・住所 東京都八王子市鑓水2-1723
※入退場無料・自由。統合デザイン学科は予約制。
展覧会詳細は多摩美術大学公式サイトでご確認ください。
https://www2.tamabi.ac.jp/cgi-bin/pro/gw/