※この記事で掲載されている画像はすべて昨年度の作品です。
美術系大学の学生にとって、一般大学の卒業論文にあたるものが卒業制作。卒業制作展は、大学生活の集大成ともいえる作品や研究成果を発表する場です。美術関係者はもとより、企業などからも、いち早く才能ある若手アーティストやデザイナーを発掘できる場として高い関心が寄せられています。もちろん、個性豊かな作品との出会いを楽しみにしている美術ファンも多いでしょう。
これまでにも「美術屋・百兵衛」では紙媒体時代のNo.53(2020年4月13日発行号)で掲載した東京藝術大学をはじめ、No.56(2021年1月8日発行号)、No.57(2021年4月14日発行号)でも卒展について触れました。今回は、1月13日から卒展がスタートする両校をピックアップしてご紹介します。
東京藝術大学が「美大界の東大」だとすれば、武蔵野美術大学と多摩美術大学は「美大の早慶」。ここで掲載する昨年度の卒展の様子や優秀作品の一部などから、各校の個性や魅力が感じられるのではないでしょうか。
武蔵野美術大学の教育理念は「教養を有する美術家育成」
「造形学部」と「造形構想学部」の二学部で構成され、美術・デザインに関する幅広い分野について学べる全12学科があります。造形学部には「日本画学科」「油絵学科(油絵専攻/版画専攻)」「彫刻学科」や、「視覚伝達デザイン学科」「工芸工業デザイン学科」「空間演出デザイン学科」「建築学科」「基礎デザイン学科」「デザイン情報学科」といった幅広いグラフィックやプロダクトデザインなどの分野が充実。そのほか、マネジメントの観点からアートや文化を学び現代社会と結びつける「芸術文化学科」が含まれます。
2019年度に新設された「造形構想学部」は「クリエイティブイノベーション学科」と「映像学科」からなり、現代社会が抱える諸課題を解決し得る人材や、映像分野の総合知識や表現技術を身に着けた人材を育成しています。
主な卒業生:石田徹也(画家)、遠藤彰子(洋画家)、原研哉(グラフィックデザイナー)、みうらじゅん(漫画家)、リリー・フランキー(マルチタレント)、スピッツの草野マサムネ(ミュージシャン)
卒展は鷹の台キャンパスで開催され、作品の多くが展示される美術館以外にも、普段学生たちが制作の場として使用している教室や廊下、倉庫など学内すべてが展示会場に様変わりします。
昨年はインスタレーションやパフォーマンス作品も人気だったようです。実際に足を運ぶことで、そのときにしかできない体験や交流も含めてアートを楽しむのも卒展の醍醐味。本年も斬新な発想や精力に満ちた、多彩な作品が私たちを迎えてくれるでしょう。
[information]
武蔵野美術大学 卒業・修了制作展
・会期 2022年1月13日(木)~1月16日(日)
・時間 9:00~17:00(入場は16:00まで)
・会場 武蔵野美術大学鷹の台キャンパス
・住所 東京都小平市小川町1-736
※ご来場の際は公共交通機関をご利用ください。
※学外の訪問者は以下予約サイトからの予約が必要となります。
https://www.ocans.jp/musabi?fid=XBkpZuWP
展覧会詳細は武蔵野美術大学公式サイトでご確認ください。
https://www.musabi.ac.jp/topics/20211214_03_02/