会場:奈良県立美術館 | 会期:1月13日(土)~3月10日(日) |
不染鉄とは?
奈良県立美術館は、2023年に開館50周年を迎えた。開館50周年を記念して、これまで3つの展覧会が開催されたが、トリをかざるのがこの特別展、「漂泊の画家 不染 鉄」展だ。
東京・小石川で生まれた不染鉄(1891~1976)は、日本画家の山田敬中や日本美術院に学んだ後、一時伊豆大島で漁師のような生活を送るなどの遍歴を歩み、大正7年(1918)に京都市立絵画専門学校(現・京都市立芸術大学)へ進学。在学中に帝展で初入選を果たし、同校を首席で卒業した後も、画家として確かな足跡を残した。
戦後は奈良・正強高校(現・奈良大学附属高等学校)の校長として請われたのを機に同地に居住し、画壇とは距離を置きながら独自の道を歩む。郷愁漂う村落風景にはじまり、悠然とたたずむ富士の眺望や神聖な古寺の景観、そして神秘に満ちた海の風景から幻想的な夜の情景へと遍歴を重ねたのだ。深まりを見せるその画境には、過去の思い出とともに静穏な日々の営みを慈しむ、彼の理想郷的世界が投影されている。
同館ではこれまで、「純情の画家 不染鉄展」(1996年)、「幻の画家 不染鉄」(2017年)と2度にわたり回顧展を開催。心に滲み入るような不染の作品は、時代や世代を超え、人々に深い感動を呼び起こした。開館50周年を記念する本展では、再度の開催を待ち望む愛好家からの声を受け、代表作をはじめ、初期から晩年までの約120件を展示する。本展覧会は、不染作品の魅力を改めて顕彰する試みとなるだろう。
展示構成
Ⅰ 追憶 ~懐かしの故郷
日本美術院や京都市立絵画専門学校などに学び、望郷の思いを込めて描いた茅葺き屋根の家や、村落風景を題材とした大正から昭和初期(初期・形成期)の作品を展示し、不染作品の原点を探る。
Ⅱ 彷徨 ~理想郷を求めて
京都・奈良・東京と、各地を彷徨しながら、東西の画家たちと交流を持った不染。彼らとの出会いなどを通して、さまざまな作風を模索した昭和戦前期(中期・転換期)の作品を紹介することで、不染芸術の展開を見渡していく。
Ⅲ 回想 ~浄土へ
奈良を拠点に、この地域の古寺や伊豆大島での思い出などを回想した作品や、浄土を連想させる夜の風景へと集約していった戦後(後期・円熟期)の作品までを展示し、不染鉄という画家の本質に迫る。
会期中のイベント
・講演会「伊藤若冲と不染鉄の筋目描き~天才画家の秘密にせまる」
講師:青木芳昭(京都芸術大学大学院教授)
日時:2月18日(日)14:00~(13:30開場・約90分)
場所:1Fレクチャールーム
定員:60名(事前申込制)
※申し込み方法の詳細は公式サイトでご確認ください
・美術講座「漂泊の画家 不染鉄」(仮題)
講師:松川綾子(奈良県立美術館指導学芸員)
日時:2月4日(日)14:00~(13:30開場・約60分)
場所:1Fレクチャールーム
定員:60名(当日13:15から整理券配布、先着順)
・学芸員によるギャラリートーク(作品解説)
日時:1月20日(土)、3月2日(土)14:00~(約60分)
場所:展示室
※上記イベントへの参加には当日の観覧券が必要です。
[information]
開館50周年記念特別展
漂泊の画家 不染 鉄~理想郷を求めて
・会期 1月13日(土)~3月10日(日)
・会場 奈良県立美術館
・住所 奈良県奈良市登大路町10-6
・時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
・休館日 月曜日(ただし、2月12日と3月4日は開館)、2月13日(火)
・観覧料 一般1,200円、大・高生1,000円、中・小生800円
*次の方は会期中無料でご観覧いただけます
- 身体障がい者手帳・療育手帳・精神障がい者保健福祉手帳をお持ちの方と介助の方1人
- 外国人観光客(長期滞在者・留学生を含む)と付添の観光ボランティアガイドの方1人
・TEL 0742-23-3968
・URL https://www.pref.nara.jp/11842.htm