2022年の春は、改修工事などのため休館していた美術館が続々と再開する。4月のオープンを控えた館から、今回は泉屋博古館東京、静岡県立美術館、松本市美術館の3館をピックアップ。麗かな春の日に、生まれ変わった美術館へ遊びにいこう!
泉屋博古館東京
泉屋博古館東京(旧・泉屋博古館分館)は、泉屋博古館(京都・鹿ケ谷)の分館として、東京・六本木一丁目の住友家麻布別邸跡地に2002年10月に開館した。以降18年間にわたり、館蔵の近代絵画や工芸品、茶道具などを紹介する展覧会や、京都本館所蔵の住友コレクションの名品を東京で展観する特別展を企画。東西両館のシナジーを生かした活動を続けてきた。
2021年4月に館名を「泉屋博古館東京」へ変更し、開館20周年を迎える2022年3月にリニューアルオープン。既存展示室をすべて改装し、空調設備の更新、照明機器のLED化、ケースの改修などが行なわれたほか、第一展示室と第三展示室をつなぐ位置に第二展示室を新設。展示スペースの拡大とともに、カフェやミュージアムショップ、講堂などを新設し、ゆとりある鑑賞空間でより満足度の高い時間を過ごせる美術館として再出発する。六本木一丁目のビジネスエリアの中にありながらも、豊かな緑に囲まれた安らぎの場として、今後も多くの人々に親しんでもらえるだろう。
HARIO CAFE 泉屋博古館東京店
2021年10月1日、1921年の創業より多くのコーヒー器具をつくってきた「HARIO」直営のカフェが泉屋博古館東京の館内にオープンした。HARIOの器具で淹れたスペシャリティコーヒーや紅茶を楽しめるほか、それらを入れる器具を実際に購入することができる。店内では、HARIO Lampwork Factory のガラスアクセサリーも販売。修理の受付や店舗限定デザインのアクセサリーもあるので、そちらもぜひチェックしてほしい。
泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅰ
日本画トライアングル
リニューアルを記念し、2022年3月19日(土)から5月8日(日)まで、同館が所蔵する日本画の全貌を展覧できる「日本画トライアングル」が開催される。住友の日本画は京都、東京、大阪の三都で活躍した画家の作品から構成された個性豊かなコレクションで、各都市の特色を反映している点が見どころ。三都の日本画を擁する住友コレクションを通じて、当時の日本画壇を横断的に眺め、地域に根差した日本画の魅力とその多様性を堪能しよう。
【招待券プレゼント(10組20名様)】
■泉屋博古館東京リニューアルオープン記念展Ⅰ 日本画トライアングル
※メニューの「プレゼントコーナー」からご応募ください。
※当選発表は4月13日以降に発送をもって代えさせていただきます。
[information]
泉屋博古館東京
・住所 東京都港区六本木 1-5-1
・電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
・時間 11:00~18:00 ※金曜日は11:00〜19:00(入館は閉館の30分前まで)
※開館時間等は、今後変更される可能性があります
・休館日 月曜日(祝日の場合は翌平日)、展示替え期間中、年末年始
・観覧料 一般:企画展1,000円・特別展1,200円、高大生:企画展600円・特別展800円
※障がい者手帳等ご呈示のかたはご本人および同伴者一名まで無料
※展覧会により料金が変更になることがあります
・URL https://sen-oku.or.jp/tokyo/
静岡県立美術館
改修工事のため約半年間休館していた静岡県立美術館。エントランスの改修工事、館内照明の更新を終え、4月2日から再始動する。
さらに4月1日からはデジタルーカイブが公開される。自宅のパソコンやスマートフォンから静岡県立美術館のコレクションを楽しめるほか、館長プロデュースの動画も配信。作家・中村宏へのインタビューや、館長と美術家・森村泰昌が同館の所蔵品について語り合う対談など、ここでしか観られないものばかりだ。また館長の書き下ろしエッセイも公開予定。こちらにも注目しよう。
大展示室展
再始動の初回を飾る展覧会はその名も『大展示室展』。何を隠そう、この展覧会は展示室そのものを見せるものだ。
美術館では普段、作品にスポットが当てられ、鑑賞者が展示室そのものを意識することなどほとんどないだろう。作品を展示するための「ハコ」である美術館の展示室には、安全に、そして快適に作品を鑑賞するための多様な工夫が施されている。この展覧会では展示室の様々な機能を一挙に紹介。壁やスポットライトの色味を検討する実験などを通して、普段は見ることのない美術館の裏側を知ることができるのだ。ぜひ会場に足を運んで、展示室の奥深さを味わってほしい。
[information]
大展示室展
・会期 2022年4月2日(土)~ 5月15日(日)
・会場 静岡県立美術館
・住所 静岡市駿河区谷田53-2
・電話 054-263-5755
・時間 10:00~17:30(展示室の入室は17:00まで)
・休館日 月曜日(ただし5月2日は開館)
・観覧料 一般300円(20名以上の団体 200円)、70歳以上・大学生以下無料
※身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の交付を受けている方と付添者1名は、企画展、収蔵品展とも無料
・URL https://spmoa.shizuoka.shizuoka.jp
松本市美術館
昨年4月より休館していた松本市美術館が、大規模改修工事を終え、2022年4月21日(木)にリニューアルオープンする。
照明設備のLED化や空調設備などの展示環境の改修のほか、ロッカールームの拡充、受付カウンターの動線の見直しなどを行なった。さらに小さな子供連れが安心して利用できるように「赤ちゃん休憩室」を新設。授乳スペースとおむつ替えスペースが備え付けられた。
今回の改修で、より来館者に寄り添った美術館へと生まれ変わった松本市美術館。ぜひ足を運んで、体感してみてはいかがだろうか。
松本市美術館開館20周年・リニューアルオープン記念展
御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」
正倉院宝物とは、東大寺(奈良)の倉であった、正倉院正倉に伝えられた約9000件におよぶ品々のこと。聖武天皇ゆかりの品をはじめ、その多くが奈良時代の作で、調度品や楽器、武具、文書など多彩な分野にわたる。
明治時代、当時開催された奈良博覧会を機に正倉院宝物の模造製作が始まった。明治後半になると模造製作は宝物の修理と一体の事業として取り組まれ、1972年からは宝物を管理する宮内庁正倉院事務所によって、宝物の材料や技法、構造の忠実な再現に重点を置いた模造製作が行なわれるようになる。以来、人間国宝ら伝統技術保持者の熟練の技と最新の調査・研究成果との融合により、優れた作品が多く生み出されてきたのだ。
この展覧会では、これまでに製作された数百点に及ぶ再現模造作品の中から、選りすぐりの逸品が一堂に会す。再現された天平の美と技に触れると同時に、日本の伝統技術を継承することの意義も感じてほしい。
【招待券プレゼント(5組10名様)】
■松本市美術館開館20周年・リニューアルオープン記念展
御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」
※メニューの「プレゼントコーナー」からご応募ください。
※当選発表は4月13日以降に発送をもって代えさせていただきます。
[information]
松本市美術館開館20周年・リニューアルオープン記念展
御大典記念 特別展「よみがえる正倉院宝物-再現模造にみる天平の技-」
・会期 2022年4月21日(木)~ 6月12日(日)
・会場 松本市美術館
・住所 長野県松本市中央4-2-22
・電話 0263-39-7400
・時間 9:00~17:00(入場は16:30まで)
・休館日 月曜日(ただし5月2日は開館)
・観覧料 大人1,500円、大学高校生・70歳以上の松本市民1,000円
※中学生以下、障がい者手帳携帯者とその介助者1名無料
・URL http://matsumoto-artmuse.jp