嵯峨嵐山に位置し、京都にゆかりのある日本画を豊富にコレクションしていることで知られる福田美術館では、1月29日から「トラ時々ネコ 干支セトラ」が開催される。本展の一番の見どころは、与謝蕪村、円山応挙など江戸時代に活躍した画家や、竹内栖鳳や大橋翠石ら明治から昭和にかけて活躍した有名画家が描く虎の絵。また、干支の動物を描いた作品のほか、2022年はニャーニャーニャーとも読めることから、愛らしい猫を描いた絵画も「時々」並べて展示される。
トラ、ネコ、ネコトラ
虎はインド・中国からロシア、中央アジア一体に生息するネコ科の動物。中国や朝鮮半島では武勇や王者の象徴とされ、虎の生息していない日本でも、龍とともに霊獣として、絵画や工芸品などの意匠に用いられてきた。江戸時代の画家たちは、中国などから輸入された毛皮や絵画を参考に虎を描いたため、現代人が見ると不自然に感じる姿をしたものもある。また、より身近な猫を観察して描かれた部分もあり、まるで猫のような虎「ネコトラ」も描かれた。
明治時代に入り虎が動物園で飼育され始めると、竹内栖鳳、大橋翠石など多くの画家が写生に通い、写実的な虎を描くようになった。第1展示室では、江戸時代に描かれた猫のような虎図、明治時代以降の画家が実物を見て描いた虎図とともに、江戸時代から昭和にかけて描かれた猫図も紹介される。
干支(えと)セトラ
子から始まり亥で終わる干支は、月日や時間、方角を表すために定められたもの。その起源は古代中国にさかのぼるとされる。干支の12種類のいきものが選ばれた理由については諸説あるが、それらは日本に広く浸透し、様々な芸術家たちの手によって表現されてきた。第2展示室では、干支のいきものを描いた絵画を通し、その生態や人とのかかわりなどが紹介される。併せてパノラマギャラリー(第3展示室)では、「干支に選ばれなかった」猫の絵も展示。
雄々しいだけでなく思わず頬が緩むようなネコ科の姿とともに、日本人に古くから親しまれた干支を描いた絵画に心癒されてほしい。
[information]
トラ時々ネコ 干支セトラ
・会期 2022年1月29日(土)〜4月10日(日)
※前期 1月29日(土)〜3月7日(月)、後期 3月9日(水)〜4月10日(日)
・会場 福田美術館
・住所 京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16
・電話 075-863-0606
・時間 10:00~17:00(最終入館16:30)
・休館日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)、展示替え期間
・料金
<福田美術館>
一般・大学生1,300円、高校生700円、小中学生400円、障がい者と介添人1名まで各700円
<嵯峨嵐山文華館との二館共通券>
一般・大学生2,000円、高校生1,000円、小中学生550円、障がい者と介添人1名まで各1,000円
・URL https://fukuda-art-museum.jp