加耶とは
加耶は、3世紀から6世紀にかけ、朝鮮半島の南部に興った国々の総称だ。朝鮮半島南部では、鉄生産を背景にして3世紀ごろに各地の勢力が成長し、金で身を飾り、大きな古墳を築く王たちが現れた。加耶諸国は、ゆるやかに連携しつつ、東に位置する新羅、西の百済や中国、北の高句麗、南の倭(日本)や南西諸島と交流した。
本展では、加耶を代表する以下の4つの国が紹介される。
金官加耶
魏志倭人伝にも登場する「狗邪韓国」から成長し、最初に「カヤ」と呼ばれ、4世紀に栄えた。王陵は大成洞古墳群。
出展品の一つ、『鴨形土器』の鴨の頭の上には、小さな人物が伏せるように乗っている。鴨形の容器は、3世紀ごろから作られ始めており、3世紀の「魏志」によると、鳥は死者の魂の媒介者とされていた。
阿羅加耶
鉄のインゴットを加工した有刺利器、土器に開けた火焔形のすかし、回転する車輪のある土器など、個性的な造形があふれる。王陵は末伊山古墳群。
『有刺利器』は、鉄のインゴット(鉄鋌)を加工して作った儀式の道具で、縁に鳥の姿を表す。鉄鋌は鉄器づくりの素材となり、時には貨幣のように、あるいは副葬品としても用いられた。
小加耶
海に面し倭とも関係が深く、大加耶と倭を仲介した。王陵は松鶴洞古墳群。
大加耶
5世紀以降に台頭し、独自に中国に遣いを送った大加耶は、ほかの加耶諸国とともに、最後まで新羅に対抗した。
韓国宝物『金銅冠』は、大加耶歴代の王の墓所である高霊池山洞古墳群から出土した。王の権威を表す冠は、中央に大きな立ち飾りが付き、細部に小さな点で波状文が表されている。
鉄の国「加耶」の興亡、華麗な文化
第一部 加耶の興亡
鉄で栄え、金で飾った加耶諸国は、古墳時代の日本にも様々な影響を与えた。本展では、最新の研究成果に基づいて、加耶の前身である弁韓に始まり、562年に大加耶が滅亡するまでの、加耶の興亡の歴史を辿る。
• 第1章 加耶を語るもの
• 第2章 加耶への道
• 第3章 加耶人は北へ南へ
• 第4章 加耶王と国際情勢
• 第5章 加耶のたそがれ
第二部 渡来人
加耶をはじめとするさまざまな地域から日本列島にやってきた「渡来人」たちがもたらした文化・技術に着目し、発掘調査の出土品から、日本文化の形成過程に迫る。
• 第6章 稲づくりと国づくり
• 第7章 渡来人と生きる
• 第8章 技術革新
• 第9章 渡来馬と渡来牛
重要文化財『金製垂飾付耳飾り』は、奈良県の新沢千塚に眠っていた、きらびやかに飾られた高貴な女性の副葬品の一つだ。彼女はほかにも、金の指輪や金銀の腕輪を身に着け、日本製の翡翠の勾玉などを持っていた。耳飾りの鎖には、大加耶の特徴が見られる。
古代朝鮮半島と倭国の交流を詳らかに知ることができる本展は、韓国宝物『金銅冠』をはじめ、倭国にまつわる文化財を一堂に鑑賞できる貴重な機会だ。ぜひ会場に足を運んでほしい。
[information]
特別展「加耶」
・会期 1月24日(火)~3月19日(日)
・会場 九州国立博物館
・住所 福岡県太宰府市石坂4-7-2
・時間 9:30~17:00(入館は16:30まで)
※毎週金曜・土曜日は20:00まで開館(入館は19:30まで)
・休館日 月曜日
・観覧料 一般1,700円、高大生1,000円、小中生600円、未就学児無料
※大学生以下の方は学生証や生徒手帳等の提示が必要
※障害者手帳等を持参の方とその介護者1名は無料
・TEL 050-5542-8600(ハローダイヤル、9:00〜20:00/年中無休)
・URL https://www.kyuhaku.jp