展覧会

令和4年度早春展 
揃い踏み 細川の名刀たち 
―永青文庫の国宝登場―

会場
永青文庫
会期
1/14(土)~5/7(日)

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刀の手入れをする細川護立

刀の手入れをする細川護立

 

東京・文京区に位置する永青文庫では、令和4年度早春展「揃い踏み 細川の名刀たち―永青文庫の国宝登場―」が開催されている。
永青文庫は、コレクター・細川護立もりたつ(1883~1970年)によって設立された。書画や近代絵画、東洋美術を蒐集し、稀代の刀剣コレクターとしても知られていた護立。彼が集めた国宝4口の刀剣を含むコレクションが約8年ぶりに集結する本展の構成とともに、見どころを紹介しよう。

国宝「太刀 銘 豊後国行平作(古今伝授の太刀)」 平安~鎌倉時代(12~13世紀) 永青文庫蔵

国宝「太刀 銘 豊後国行平作(古今伝授の太刀)」
平安~鎌倉時代(12~13世紀) 永青文庫蔵

第1章 揃い踏み 細川護立 心酔の刀剣

護立が刀の世界に本格的に足を踏み入れたのは、学習院中等学科在学中、肋膜炎にかかり休学していた十代の頃。細川侯爵家に「御刀掛おかたながかり」として出入りしていた肥後金工師の末裔・西垣四郎作にしがきしろさくや、刀剣愛好家でもあった細川家の家政所職員らとともに開いた研究会で刀剣の目利きを学び、審美眼を磨いていった。
本展では国宝全4口をはじめ、「刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定かせんかねさだ)」など護立の眼によって集められた名刀が蒐集エピソードとともに展覧される。

「刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定)」 室町時代(16世紀) 永青文庫蔵

「刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定)」
室町時代(16世紀) 永青文庫蔵

第2章 肥後金工の名品 揃い踏み

江戸時代、細川家が治めた熊本で発展したつばなどの刀装金具を肥後金工と呼ぶ。その主な流派には林派、平田派、西垣派、志水派があり、それぞれ個性的な刀装金具を生み出した。
永青文庫に伝わる肥後金工の多くは細川護立蒐集品で、叔父・長岡護美もりよしや、刀剣の目利きの指南を受けた西垣四郎作らから譲り受けたもの。本章では、精緻な透彫すかしぼり象嵌ぞうがんを駆使した林派初代・又七の鐔や、西垣派二代・永久ながひさによる雅趣あふれる鐔など、肥後金工を代表する護立自慢の品を楽しもう。

第3章 武家の格式 後藤家による刀装金具

後藤家とは、室町時代の祐乗ゆうじょうに始まる金工師の家系。足利将軍家や織田信長、豊臣秀吉、徳川将軍家といった為政者の抱工として、 幕末まで三所物みところもの(刀の外装に付ける小柄こづかこうがい目貫めぬき)を中心に手掛けた。
赤銅しゃくどうの黒色の地板に文様を金で立体的に表した後藤家の刀装金具は格調高く、品格を備えており、その作風は「家彫いえぼり」と呼ばれ、武家において珍重されてきた。
永青文庫が所蔵する後藤家作品のうち、「猿猴捉月図三所物」の笄は、乗真じょうしん自身による銘が刻まれた唯一の作品として特に貴重なもの。本章では、動物や物語をモチーフにしたものなど、様々な意匠を楽しむことのできる三所物を中心に紹介。

重要美術品「猿猴捉月図三所物」   目貫・笄:後藤乗真、室町時代(16世紀)/小柄:後藤通乗、宝永7年(1710) 永青文庫蔵

重要美術品「猿猴捉月図三所物」
  目貫・笄:後藤乗真、室町時代(16世紀)/小柄:後藤通乗、宝永7年(1710) 永青文庫蔵

 

第4章 在野の金工・町彫の逸品

将軍や大名の御用をつとめ、伝統や格式が重んじられた後藤家の「家彫」に対し、市井で活躍した在野の金工を「町彫まちぼり」と呼ぶ。後藤家には、材質や彫法などに制約があった一方、町彫の金工たちは、自由な立場から、多種多様な材質や巧みな構図、新たな彫法などを取り入れた作品を生み出した。
本章では、迫力ある高肉彫で源義経を表した奈良利寿としながの希少な鐔や、虎を真上から捉えた大胆な構図の土屋安親の揃金具など、町彫の逸品にも注目してほしい。

重要文化財 奈良利寿「牟礼高松図鐔」 江戸時代(18世紀) 永青文庫蔵

重要文化財 奈良利寿「牟礼高松図鐔」 江戸時代(18世紀)
永青文庫蔵

関連イベント
文京区×刀剣乱舞ONLINE コラボレーション
「細川の名刀と巡る文のみち 〜目白台・関口の雅〜」

本展で展示される刀剣のうち、「刀 銘 濃州関住兼定作(歌仙兼定)」と国宝「太刀 銘 豊後国行平作(古今伝授の太刀)」は、人気ゲーム「刀剣乱舞ONLINE」に「刀剣男士とうけんだんし」として登場する。「刀剣男士」とは、物に眠る想いや心を目覚めさせ、力を引き出す能力を持つ「審神者さにわ」によって、刀剣より生み出された付喪神つくもがみ
プレイヤーが「審神者」となって彼らを収集・強化し、日本の歴史を改変しようとする敵「歴史修正主義者」と戦う刀剣育成シミュレーションゲームだ。
通称「とうらぶ」として親しまれているこのゲームは、2015年1月14日のリリース以降、若年層の女性に絶大な人気を誇り、いまや老若男女を問わずプレイヤー層を拡大している。

永青文庫の周辺では、文京区と「刀剣乱舞ONLINE」のコラボレーション事業が展開されている。ぜひ展覧会と併せて楽しんでみよう。

①永青文庫周辺のスポットをめぐるスタンプラリー
期間 前期:1/14(土)〜3/5(日)/後期:4/22(土)〜5/7(日)
②肥後細川庭園、ホテル椿山荘東京、*東京シティアイ(KITTE)でのパネル展示
期間 3/6(月)~4/21(金)を除く会期中。*東京シティアイ(KITTE)はすでに終了
③肥後細川庭園でコラボレーション限定オリジナルグッズを販売
期間 前期:1/14(土)〜3/5(日)/後期:4/22(土)〜5/7(日)
※詳細は特設サイトを参照
※コラボレーション内容は変更になる可能性あり

[information]
令和4年度早春展 揃い踏み 細川の名刀たち―永青文庫の国宝登場―
・会期 2023年1月14日(土)~5月7日(日)
・会場 永青文庫
・住所 東京都文京区目白台1-1-1
・時間 10:00〜16:30 (入場は16:00まで)
・休館 月曜日(祝日の場合は開館、翌平日休館)
・入場料 一般1,300円、大高生800円
※中学生以下、障害者手帳をご提示の方、及びその介助者1名は無料
※日時指定予約制
予約サイト https://art-ap.passes.jp/user/e/superb_swords
・TEL 03-3941-0850
・URL https://www.eiseibunko.com

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