キャンバス全体を色彩で覆い
場(=フィールド)を生み出した
広がりある豊かな画面
カラーフィールドとは、1950年代後半から60年代にかけてアメリカを中心に発展した抽象絵画の傾向を指す。画家たちは巨大なキャンバス一面に色彩を用いて場(=フィールド)を創出させ、広がりある豊かな画面を作り出した。
千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館で現在、「カラーフィールド 色の海を泳ぐ」と題した展覧会が開かれている。カラーフィールド作品の収集で世界的に知られるマーヴィッシュ・コレクションより、関連する作家9名に焦点をあて、1960年代以降の出色の作品を紹介する本邦初の展覧会だ。
画家たちは、色彩と絵画の関係を各々の方法で模索し、その過程で多くの作家が独自の描画に至った。変形的な外形を持つシェイプト・キャンバスの使用や、絵具をキャンバスに染み込ませるステイニング技法、あるいはスプレーガンの噴霧で色を蒸着させる画法など、従来では考えの及ばなかった手法を考案し、絵画に新たな地平を切り拓いたのである。
こうして創出された空間を満たす大画面と、そこで展開される様々な色彩についての思考は、今なお見るものの感覚や想像力を刺激して止まない。作品が体現する色の世界、その海を泳ぐ我々は、色の波に身をまかせ、溺れ、時に抗いながら、絵画と色彩の無限の可能性に出会うだろう。色の海を泳ぎきった先には、きっと、我々自身の中にある彩り豊かで、高潔な、けれど同時に暗く、黒いものをも包む、美しい地平を感じとってもらえるのではなかろうか。(プレスリリースより)
展覧会の見どころ
1. カラーフィールドの豊かな色彩と技法
1950年代後半から60年代、アメリカを中心地として発展した抽象絵画の潮流「カラーフィールド」の代表作を紹介する、日本で初めての展覧会。カラーフィールドの画家と交流した彫刻家を含む9名の作家たちが開拓した豊かな色彩と技法が鑑賞できる。
2. 約40点のカラーフィールド作品が初来日
世界で最も質の良いカラーフィールド作品を所蔵しているカナダの「マーヴィッシュ・コレクション」より、約40点の作品が初来日。DIC川村記念美術館の収蔵品とあわせて約50点が展観される。
3. 色の海を回遊するような不思議な体験
床置きの立体作品から横5mを超える大型絵画まで、色と質感の豊かさを堪能できる作品群は人の官能性を呼び覚ますはず。章ごとに微妙に明度が異なる展示空間で、ゆらめく色の海を回遊するような鑑賞体験が期待できる。
出品作家
ジャック・ブッシュ、アンソニー・カロ、フリーデル・ズーバス、ヘレン・フランケンサーラー、モーリス・ルイス、ケネス・ノーランド、ジュールズ・オリツキー、ラリー・プーンズ、フランク・ステラ
[information]
カラーフィールド 色の海を泳ぐ
・会期 2022年3月19日(土)~ 9月4日(日)
・会場 DIC川村記念美術館
・住所 千葉県佐倉市坂戸631
・時間 9:30〜17:00(最終入場時間16:30)
・休館日 月曜日(ただし3月21日、7月18日は開館)、3月22日(火)、7月19日(火)
※館内メンテナンスのため、5月24日(火)〜31日(火)は臨時休館
・観覧料 一般1,500円、学生・65歳以上1,300円、小中学生・高校生600円 ※事前予約制
・TEL 050-5541-8600(ハローダイヤル)
・URL https://kawamura-museum.dic.co.jp/