会場:Bunkamura ザ・ミュージアム | 会期:4/29(金・祝)〜7/3(日) |
現代を代表する美術家のひとり、フェルナンド・ボテロ(1932〜)。
生誕90年という記念すべき年である今年、Bunkamura ザ・ミュージアムでは彼の個展が開催される。ボテロ作品は世界で人気を博しているが、日本での個展は26年ぶりだ。
彼の作品の特徴は、あらゆるかたちがふくらんでいること。人物はもちろん、動物や果物、楽器や日用品さえも膨張しているのである。そのモチーフには官能やユーモア、時にアイロニーなど、様々な意味が内包されており、観る者の感覚や感情に力強く訴えかける。
南米・コロンビアに生まれたボテロは、17歳の頃制作した作品《泣く女》で、すでにボリュームへの関心を示している。
20歳でヨーロッパに渡ったボテロは古典作品から多くを吸収し、ボリューム感、官能性、デフォルメ表現といった、現在の作風に繋がる基盤を確固たるものにした。特にイタリアでの修行期間は、それらへの関心を自覚的に継続させていく上で重要な時間であった。
その時以来描き続けている名画へのオマージュは、今やボテロの代表的なシリーズ作品である。美術史における主要な芸術家たちの作品が彼の“魔法”によって全く異なるものへと変貌を遂げるのだ。
彼が世界から注目されるきっかけとなったのも、かの有名なモナ・リザへのオマージュ作品、《12歳のモナ・リザ》だった。この作品が1963年、ニューヨーク近代美術館(MoMA)のエントランス・ホールに展示されるやいなや、ボテロの名は一夜にしてニューヨーク中に広まったという。
今回の展覧会では、2020年に制作された《モナ・リザの横顔》が世界初公開される。見逃せない一点だ。
「芸術とは、同じことであっても、異なる方法で表す可能性である」
と、ボテロは語る。オマージュ作品を描き続ける彼にとっての意義が、この言葉から読み取ることができる。
彼は名画だけでなく、楽器や果物、花などのある、ありふれた光景にも“魔法”をかけてしまう。誰もが見過ごしてしまいそうな日常に彼がボリュームを与えることによって、それは全く別の意味を成す。
「ボリュームを通して、生命の高揚感が生み出されるが、デフォルメにより芸術には不均衡が生じる。それは再構築されなければならないが、一貫した様式によってのみ、デフォルメは自然となる」
と、ボテロは言う。それを通して、かたちの官能性とボリュームの強調から成る、ボテロ特有の様式による静物画は生まれるのだろう。
今なお精力的に作品を発表し、人々を魅了するボテロ。この展覧会でもきっと、観る者を不思議な世界への旅に連れて行ってくれるはずだ。
[information]
ボテロ展 ふくよかな魔法
・会期 2022年4月29日(金・祝)〜7月3日(日)
・会場 Bunkamura ザ・ミュージアム
・住所 東京都渋谷区道玄坂2-24-1 B1F
・電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
・時間 10:00〜18:00(入館は17:30まで)、毎週金・土曜日は21:00まで(入館は20:30まで)
※状況により、会期・入場方法等が変更となる場合があります。
・休館日 5月17日(火)
・入館料 大人1,800円、大学・高校生1,100、中学生・小学生800円、未就学児は入館無料
※障がい者手帳の提示で、本人と付き添い1名は上記の半額
※各種前売り券による割引あり
※会期中すべての土日祝は【オンラインによる入館日時予約】が必要。
・URL https://www.ntv.co.jp/botero2022/