女性が身に着ける衣服や髪の質感、白い肌から発せられる体温と湿度、そしてその心の機微までを画面から伝える画家・やちだけい。5月31日から東京・日本橋のREIJINSHA GALLERYでは、「残り香は蒼く」と題された彼女の個展が開催される。
個展によせて、やちだは次のようにコメントした。
五感の中で最も記憶に残るものが嗅覚だと言われています。これは嗅覚が記憶をつかさどる脳の海馬に直接的に刺激を与える事ができる唯一の感覚だからだそうです。ふと鼻をかすめた匂いに懐かしさを覚えたり、忘れていたはずの記憶が呼び起こされたりした経験が、誰しも一度はあるのではないでしょうか。
薄曇りの下で眠気を誘うムスク、梅雨入り間近の朝に漂う甘いスペアミント、熱っぽい肌を撫ぜるジャスミン。もう声も名前も忘れ顔貌さえ朧なのに、あの子が纏っていた匂いだけは、まだ確かに思い出として残っているのです。
いつかはその残り香さえも色褪せて、蒼く白んでいってしまうのかもしれないけれど、今はまだ都合よく追想に耽るための優しい記憶として、傍にいて欲しいと思うのです。
誰かが立ち去った後に、その場所で微かに漂う空気や香り。そんな情感あふれる世界を、ぜひ会場で楽しんでほしい。
■ 抽選申込受付期間
5月31日(金)12:00 ~6月5日(水)12:00まで
https://reijinshagallery.com/product-category/kei-yachida/
[information]
やちだけい 残り香は蒼く
・会期 5月31日(金)〜6月14日(金)
・会場 REIJINSHA GALLERY
・住所 東京都中央区日本橋本町3-4-6 ニューカワイビル 1F
・電話 03-5255-3030
・時間 12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
・休廊日 日曜、月曜、祝日
・URL https://linktr.ee/reijinshagallery