会場:金沢21世紀美術館 | 会期:5/3(火・祝)〜9/4(日) |
金沢21世紀美術館では、現代韓国を代表するアーティストデュオ、ムン・キョンウォンとチョン・ジュンホによる国内初となる大規模個展が開催中である。彼女たちは結成当初の2009年より、「現代世界における芸術の社会的機能と役割とは何か」を問いかけるプロジェクト「News from Nowhere」を軸に作品を展開してきた。
この展覧会は、3点の大型映像インスタレーションを中心に構成されている。本展のための新作、《News from Nowhere : Freedom Village》、代表作《世界の終わり》だ。これらの作品によって、ムン&チョンの領域横断的かつ歴史横断的な思考と活動が多面的に紹介されている。
ー《Silent Planet》
新作《Silent Planet》では、現実世界と仮想現実を行き来しながら、自由を求める人間の意志と葛藤が描かれている。同じ展示室内では、金沢市の金石地区での滞在制作を経て、街の特性を活かしながらその機能拡張や風景の変容に言及する、彼らのドローイングやマケットなども展観する。
ー《News from Nowhere : Freedom Village》
「Freedom Village」のシリーズ最新作である本作は、韓国と北朝鮮の間にある非武装地帯に存在し、地政学的には不可視とされている村を主題にしたもの。村の住民と、未来に生きる人物が時空を超えて交錯し、イデオロギーの二律背反(論理学用語で、どちらも妥当な命題同士が、互いに矛盾する状態にあること)性から生み出された二つの世界が描かれている。
ー《世界の終わり》
「現在」と「終末を迎えた以後」が進行し、二つの時間軸が交差する。二面のスクリーンに投影される映像には、それら異なる時間軸がどのように進み、どのように接続していくかが、緻密に描き出されている。
彼女たちの作品はなぜ、いずれもドキュメンタリーとフィクションの間を往還するという形式が取られているのか。それは、作品に通底する歴史横断的な視点で世界の「今」を読み解くためである。二人は、社会システムの矛盾や国家・世界のありようを問いかけているのだ。
現代社会が直面する課題を抽出し、そこで生きる我々に詩的かつ力強いメッセージを投げかけるムン・キョンウォンとチョン・ジュンホ。2人の作品世界を、ぜひ存分に体験していただきたい。
[profile]
ムン・キョンウォン MOON Kyungwon
1969年ソウル(韓国)生まれ。
チョン・ジュンホ JEON Joonho
1969年釜山(韓国)生まれ。
近年、学際的なプラットフォームを作ることに焦点を当てた共同プロジェクト「News from Nowhere」を活動の中心としている。最初のサイトスペシフィックな共同作品を2012年のドクメンタで発表。主な個展に2013年「News from Nowhere」シカゴ美術館附属美術大学、2015年ミグロス現代美術館 (チューリッヒ)、「The Ways of Folding Space & Flying」ヴェネチアビエンナーレ韓国館、2017年「Freedom Village」スカイザバスハウス(東京)、2018年~2019年「News from Nowhere」テート・リバプール、2021年「News from Nowhere : Freedom Village」韓国国立近現代美術館(ソウル)、2021年「奥能登国際芸術祭2020+」(珠洲・石川)などがある。金沢21世紀美術館では、2018年東アジア文化都市2018「変容する家」、2019年開館15周年記念「現在地:未来の地図を描くために[1]」、2018年〜2019年自治区AIR 金石大野アートプロジェクトに参加。
・URL https://moonandjeon.com/
[information]
ムン・キョンウォン&チョン・ジュンホ:どこにもない場所のこと
・会期 2022年5月3日(火・祝)~ 9月4日(日)
・会場 金沢21世紀美術館 展示室7〜12
・住所 石川県金沢市広坂1-2-1
・時間 10:00〜18:00(金・土曜日は20:00まで)※観覧券販売は閉館の30分前まで
・休場日 月曜日(ただし7月18日、8月15日は開場)、7月19日、8月16日
・料金 一般1,200円、大学生800円、小中高生400円、65歳以上1,000円
※入場当日に限り「コレクション展1 うつわ」(対象期間:5月21日〜9月4日)にも入場可能。
※入場時間枠ごとの数量限定販売の日時指定WEBチケット及び当日券あり(先着順・予定数量に達し次第販売終了)。
・TEL 076-220-2800
・URL https://www.kanazawa21.jp