木村伊兵衛(1901~1974)と土門拳(1909~1990)は、ともに日本における近代写真・リアリズム写真の開拓者として知られている。2021年に木村が生誕120年を迎えたことを記念して、土門拳記念館では2人の作品を一挙に楽しむことのできる展覧会が開催中だ。
20世紀の写真史を振り返る上で欠かせない木村と土門。しかし、その人柄や作風は大きく異なっていた。
木村は小型のライカカメラを愛用し、瞬間的なアングルから人間や風景をさりげなく、かつ流麗に捉えた。
それに対し土門は、被写体を細部まで徹底的に凝視するかのような緊張感のみなぎる作品によって、自己のスタイルを確立した。
1930年代初頭、まだ駆け出しで無名だった頃の土門は、既に新進気鋭の写真家として注目を集めていた8つ年上の木村の作品から、大きな刺激を受けたようだ。その後も長年にわたり、土門は木村の存在をいつか追いつかなければならない「ライバル=好敵手」として意識していた。そして戦後、1950年代にはカメラ雑誌の月例審査を2人合同で行ない、全国のアマチュア写真家のあいだにリアリズム写真の一大ムーブメントを巻き起こしたのである。
2人の代表作およそ210点が一堂に会する空間で、個々の作品が放つ豊かな個性と、彼らが生きた時代の空気を感じていただきたい。
[information]
木村伊兵衛 生誕120年記念 木村伊兵衛と土門拳 ー「瞬間」と「凝視」の好敵手ー
・会期 2022年4月8日(金)~ 7月3日(日)※会期中無休
・会場 土門拳記念館
・住所 山形県酒田市飯森山2-13(飯森山公園内)
・電話 0234-31-0028
・時間 9:00~17:00(入館は16:30まで)
・入館料 一般900円、高校生450円、中学生以下無料
・URL http://www.domonken-kinenkan.jp/